第64回 写真道展 入賞作品・入選者発表

【総評】

第64回写真道展審査会は2月25日、26日の2日間にわたり道新2階大会議室にて、写真家石津聰氏、水本一義氏とともに北海道新聞写真部長篠原明典氏、写真道展審査会員25名による総勢28名の審査員により第1次から第6次まで厳正に審査されました。応募者428名、応募点数5,409点という膨大な作品はバラエティに富み、熱い想いが伝わって来ました。

新たな傾向として中国、東南アジアなどの作品も散見されました。写真道展に新しい風が吹いてきていることは嬉しいことです。

第1部「自由」には2,012点の応募がありました。人間、風土、生活。造形、テクニックフォト等に海外作品も含め多様な作品が揃いました。
1席文部科学大臣賞に選ばれた山形典夫さんの「影を追って」は、グーに秘めた力強さ、自分の影を踏みしめながら真剣な眼差しで走る少女の姿に未来への希望を感じます。作者の温かい人柄までもが写り込んでいるような秀作は第64回写真道展大賞に輝きました。

第2部「観光、産業」には1,327点の応募がありました。北海道の振興を願う写真道展では特徴的な部門になります。1席国土交通大臣賞に選ばれた花岡勝美さんの「出陣」は家内安全、商売繁盛を願う歌志内神社のナマハゲ祭り、ユーモラスな神様を的確な画面構成により、臨場感とともに空気感までが伝わってきます。優れた力量と経験に裏打ちされた作品に仕上がっています。

第3部「ネイチャーフォト」に応募された2,070点は、主に恵まれた北の大地を舞台に繰り広げられる現象、風景、生態等ハイレベルな作品が多く、選考に苦慮しました。1席環境大臣賞に選ばれた中川昌子さんの「氷上の道しるべ」は初冬のダム湖を美的造形性として捉え、大自然のドラマを見事に表現されています。統一された色彩と詩情あふれる感性に豊かな作家性を感じます。いつまで見ても飽きない魅力を秘めています。

入選、入賞率5%の難関を突破された皆様おめでとうございます。
今年の傾向としてプリント技術の向上が印象的でした。残念なことは挑戦的な作品が少なく、来年への課題でしょう。

審査委員長 山本康雄(やまもと やすお)

写真道展審査会員
2008年 個展「大雪の形象〜大雪山」東京・札幌富士フイルムフォトサロンにて開催
2010年 個展「大雪の形象〜大雪山」中山峠写真の森美術館にて開催 他
遠軽町在住

<作品名をクリックすると別窓で作品が見られます。Javaを有効にして、ポップアップウインドウを許可して下さい>
第1部(自由)
一席 写真道展大賞・文部科学大臣賞 山形 典夫(札幌市) 影を追って
二席 北海道知事賞 今 明美(札幌市) さがしものは何ですか?
二席 北海道教育委員会教育長賞 林田 定昭(釧路町) 蜘蛛とバラの日々
二席 北海道新聞社賞 阿部 なおき(登別市) しあわせなとき
二席 道新文化センター賞 飯高 光紀(札幌市) ひとめ惚れ
三席   山本 隆晟(江別市) 何を思う?
三席   長屋 信一(旭川市) 老いの微笑
三席   中川 昌子(札幌市) 托鉢
三席   安田 敏彦(札幌市) わっ気持ちいい
三席   浅海 信一(釧路市) シュプール
三席   鎌田 美智(札幌市) 光と遊ぶ
三席   細川 貞子(旭川市) 赤い傘の女

(クリックするとpdfで入選者名と作品名が閲覧できます)

第2部(観光・産業)
一席 国土交通大臣賞 花岡 勝美(江別市) 出陣
二席 札幌市長賞 古川 敬子(北広島市) 幣舞橋の朝
二席 道新観光賞 白鳥 敏昭(旭川市) アイヌ文化を伝えて
三席   今 明美(札幌市) 郷愁
三席   山形 典夫(札幌市) 「こんにちは」
三席   藤田 万理子(札幌市) 白鳥ライン
(クリックするとpdfで入選者名と作品名が閲覧できます)
第3部(ネイチャーフォト)
一席 環境大臣賞 中川 昌子(札幌市) 氷上の道しるべ
二席 北海道写真協会賞 難波 江(札幌市) 湖上の夜明け
二席 北海道新聞野生生物基金賞 増井 典子(苫小牧市) 夏の忘れ物
二席 道新文化事業社賞 安田 敏彦(札幌市) 弾け打つ
三席   荒木 憲幸(函館市) 終えん
三席   奥山 千尋(石狩市) 都会のオアシス
三席   池田 政人(旭川市) 光芒
三席   細川 貞子(旭川市) 飛来
(クリックするとpdfで入選者名と作品名が閲覧できます)

【巡回展日程】上記以降各地位の巡回展を行います。日程はこちらから